2013年6月7日金曜日

『fashionista』タイトル変更について

書名の変更について


 この度、私たちの批評誌『fashionista』は、第2号より『vanitas』と名称を変更することにいたしました。ことの経緯を以下に記します。

 平成251月に株式会社INFASパブリケーションズ(以下、I社)より代理人を通じて『fashionista』という書名の使用をとりやめるよう通告がありました。I社の言い分としては、“fashionista”という名称はI社が商標権を持っているため、私たちの行為が商標権侵害にあたるというものでした。しかしながら本件に関して、私たちは次のような理由により法的にも十分に争いうるものと考えております。

 『fashionista』はISBNを取得した「書籍」として販売いたしております。これは、雑誌のように新しい号が出たらその前の号は店頭に並ばなくなるというジャンルの出版物では私たちが掲げる「言論のアーカイブ」という目的が達成しにくくなってしまうという考えによるものです。「fashionista」というタイトルに商標が及ぶか否かという点については、「ファッショニスタ」という言葉は「ファッションを愛好する者」を端的に表す普通名詞として一般的に用いられる言葉であり、また、書籍に題号を示すものに商標権が及ばないとした過去の裁判例等の射程を考慮すると、商標権は及ばないと考えています。

 また、I社は『fashionista』を書籍ではなく雑誌だと主張しておりますが、百歩譲って『fashionista』が雑誌だと判断されたとしても、商標権に関するI社の主張に正当性があるとは思えません。I社は平成15117日に「fashionista」という商標を登録した後、約9年間その商標を使用してきませんでした。そして私どもの書籍『fashionista』が発行された約2ヶ月後の平成24514日に再度同名の商標を申請しています。平成15年に登録された商標が有効期間内であると考えているのであれば、このような不自然な再申請は行わないはずです。つまり、I社は3年以上商標を使用していなかったため商標が事実上失効状態だと認めているに等しいと考えられます(この判断は、商標法において、継続して3年以上日本国内において商標を使用していない場合には、「何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる」とされていることに由来します)。

 このように考えると、私たちのあいだでも、あるいは読者の方々のあいだでも馴染みの出てきた『fashionista』という書名を変更する必要はないとも思えます。
 しかしながら、『fashionista』は水野大二郎と蘆田裕史の二人が個人で発行している出版物であるため、今後裁判で争っていくにはその負担があまりに大きすぎます。裁判の過程で必要とされる時間と労力を考慮すると、私たちは勝訴してもメリットがほとんどありません。そのような無用なものに時間と労力を費やすよりも、私たちはファッションという文化に貢献するために時間と労力を費やしたいと思っております。そのため、甚だ不本意ではありますが、第2号以降より書名を変更することにいたしました。

 第1号と第2号で名称が異なることとなってしまい、取扱店舗様、読者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、どうかご容赦いただければ幸いでございます。


水野大二郎
蘆田裕史

0 件のコメント:

コメントを投稿